日傘を購入する基準として、遮光性能を参考にするのが一般的です。性能が高いほどシミやシワの原因となる紫外線、熱中症の原因となる可視光線を防ぐ効果が高いと言えます。数年前までは美意識の高い女性が差す傘というイメージでしたが、近年の気温上昇による熱中症患者の増加に伴いサラリーマンや子供にも積極的に利用がすすめられています。初めて日傘を購入する人にとっては「完全遮光」という言葉が選びやすい基準になるのではないでしょうか。
しかし、この言葉は正しい表記とは言えないのです。日本には消費者が安心して洋傘を使えるように、洋傘に対する一定の品質基準を設けています。これをJUPA基準と言います。「完全」と謳っていると100%の効果があると一般的には解釈されてしまいますが、JUPA基準では紫外線や可視光線を100%防御できるとはしていません。
よって、消費者の混乱を避けるため、遮蔽率や遮光率に対する機能表示に「完全」や「100%」と表記することを控えるよう明記しています。では、そうした表現をしている日傘はなんなのかというと、メーカー独自の基準で表記しているにすぎません。そもそも日傘の遮光率は傘の生地のコーティング剤の質で現わされ、コーティング効果が高いほど遮光性能が高いということになります。コーティングの効果は実験結果に基づき表記され、JUPA基準では99.999%が最高値です。
もちろんメーカーの実験結果に基づき100%の効果があると保証されているのなら、完全と謳った日傘を購入しても問題はないでしょう。